伊雑宮の御師

 特定の寺社に所属し、各地にお祓大麻〔神札〕などを配って信仰を広め、参拝者をその社寺に誘導する人々を「御師〔おんし・おし〕」と呼びました。御師はまた参拝者を宿泊させるほか、神楽や料理でもてなし、参拝の案内も行っていました。

私とご遷宮

私は紀元2600年(昭和15年)の仮遷宮を拝観してより、戦後3回、そして今回(2014年)もご遷宮を迎えようとしています。

幸いにも隣接する地に生活し、役場につとめていた関係上、最も近くで関連諸行事、まつり事に関わる事が出来ました。

加えて幸いにも、御師をしていた先祖より語りつがれてきた昔話や裏話を聞くことが出来ました。

今ここに、伊雑宮御師の志に思いを起し、ご来訪の皆さまへおもてなし奉仕の出来る事に感謝しています。

森家について

 

○ 伊雑宮御師(いぞうぐうおし)

森家は、伊雑宮の祢宜、長宮である伊雑宮御師の「世古氏」「中氏」のうち、世古氏につかえて、明治4年(1871年)御師制度が廃止されるまで御師を続けていました。

○ 伊雑宮御師の特徴

伊雑宮御師は、地区(まち)、職業、家柄、身分、男、女を問わず平等にお接待をしましたが、森家もこれに習いお接待をしました。

○ 家号

森家は「森新(モリシン)」という家号を用いており、現在も家屋の軒瓦に用いられています。

○ 御師・森新の御料

小豆島、三河、奈良、伊勢在 それぞれの一部在所が「森新」の御料でした。

○ 家の系図

「森新」の御師の歴史は17世紀頃から歴史に現れ今日まで続いています。

 
森 辰蔵
森 辰蔵

○ 現世帯主 

森 和夫 昭和8年(1933年)生

○ 森新に現存する御師の資料

掛け軸(伊雑皇大神宮)、

刀、上下、膳、百済村木札、その他

○ 森新の建物と生活

・明治41年まで木造平家わら葺 

ひさし日本瓦葺  2棟

・明治42年 旧家屋を取りこわし

その屋敷に建物を新築

   木造平家二重屋根日本瓦葺 82㎡

   伊勢造り 道路面して切妻より出入り

する

・昭和9年まで農業、商店(味噌、醤油、酢、塩)       

・昭和16年まで中六旅館 多忙の時は下講座敷とする。

 

○ 御師余話(新八物語)

 

<ロマン>

時は天保7年6月、御師森新左衛門の娘「こう」(25歳)は御料小豆島に渡るため風待港的矢にて上方行の便船を待っていた。

時おりしも沖が荒れ小豆島の船が入港した。

風待の幾日かのうちに、小豆島の船員和吉(27歳)とこうとは仲良くなり結婚することになってしまった。

そこで、和吉は船乗仲間に「和吉は的矢でコレラにかかり死んだ」ことにして森新のむこ養子となった。

<なぞ>

? 名前を和吉から新八とかえた。

? 明治戸籍に的矢の川口家次男と届けている。

? 明治になって交通も自由になり、金銭のたくわえもあるのに、生まれ故郷の小豆島を訪ねていない。

? 望郷の思いから上之郷区に「こんぴら講」を創設している。

? 新八の孫「辰蔵」には、小豆島を語らない日がなかったという。

? 「お前が大きくなったら小豆島を訪ねてくれ」と、だけど生まれた村、家族のことを語らなかったのは何故か?

<推察(仮説)>

◆ 和吉(新八)は、作家壺井栄さんの祖父ではなかったのか

◆ 「お前が大きくなったら・・・」と孫に語った話は、壺井家の話と森家の話は表裏一体、よく似ている

<物証と思い>

① 新八辞世の歌

 

 

② 墓石 小豆島出身 幼名 和吉

③ 船たんすの引出の小豆島

 

「お前が大きくなったら小豆島を訪ねてくれ」

 

 

<壺井栄著 三重県立高等学校国語教科書「的矢の日和山」>

 

壺井栄さんが祖母の話に基づき、的矢を二度訪ねているが、確かな話、物証には出会わなかった。

 

壺井家と森家に伝わる話を思い合わす時、時を越えて眼前にその時代、姿が浮かんできます。そして、壺井栄さんにお会いできなかった事、二つの話が話としてうすれて行く中で、御師と伊雑宮の歴史を思う日々です。

 

●御師の家

住所:三重県志摩市磯部町上之郷407

(伊雑宮の北隣)

電話:0599-55-0740

御師 森 和夫

 

不定休 

※個人のボランティアによって運営されておりますので、電話に出られないこともございますことを、ご理解いただけましたら幸いです。

●このサイトの管理人

森さんと私は、平成22年から志摩市伊雑宮周辺地区(まちづくり)構想を作成する時に、地元の方、コーディネーターという立場でお逢いしました。

そこで、意気投合し、森さんが自費で考えられた「御師の家」づくりにご協力し、それ以降アドバイザーとして、また一人のファンとしてお付き合いが続いています。

今、上之郷伊雑宮地区は伊勢志摩の一の宮伊雑宮を中心に悠久の歴史をもつまちとして史まちづくりを進めています。

これから、伊勢志摩においでになる時には、是非伊雑宮そして御師の家にお立ち寄り下さい。

御師を先祖にもつ森さんが「おもてなしの気持ち」をもってお待ちされています。

平成26年3月1日

(株)都市環境研究所三重事務所

五十子修

 

●(株)都市環境研究所ホームページ

●特に管理人注がついていない文章は、御師の森さんによる文章を掲載しています。